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<<   作成日時 : 2015/12/07 09:00   >>

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 11/17の午後、T大学の“応用マテリアル工学講座”で約80名の大学3年生を前に2時間の講義を行いました。2007年の同講座で「自動車に求められる機能と鉄鋼材料が果たす役割」と題した講義以来、8年ぶりに「金属材料の高機能・高付加価値化による応用展開」のタイトルでの講義を依頼されたためです。

 8年前は開発中の自動車の大型部品を幾つもトラックに積んで大学まで運んで、学生たちに直に触らせたのですが、今回は新機能材料開発本部からH君とO君を伴って、彼らに15分づつ講義を分担して貰いました。講義では特金のコアプロダクツと言える金属材料を取り上げ、それらのメタラジーの基礎に加えて、精密機能材料としてどのように作り込まれ、どのような精密部品に使われているかなどについて紹介しました。その中でも、H君とO君には特金が取り組んでいる先端の開発事例について話して貰ったのですが、二人の堂々とした講義に学生たちは熱心に聞き入っていました。

 今回の講座では、13名の講師陣の中で中小企業からの講師は私一人でしたので、冒頭のつかみは、以下のレジメを配って少々熱く語り掛けました。丁度テレビドラマで“下町ロケット”が話題になっていましたので、日本のものづくり力を支える中小企業を代表して、“特金プライド”の一端が伝わればと思いつつ…。

 「本日は、皆さんに"金属材料の高機能・高付加価値化による応用展開"と題してお話しします。
 私達の周りにある金属は、それぞれ固有の物理的、化学的、機械的特性を有しています。一般的に、電磁気特性や電気化学特性など電子レベルの特性が機能(function)で、結晶レベルの力学特性は機械的性質(Mechanical property)として扱われるため、鉄鋼材料を機能材料とみなす人は少ないかも知れません。しかし、多くの機能性部品やそれを駆動させる精密機器には多種多様な鉄系材料が使われています。
 最近の材料科学では、マテリアルゲノムやインフォマティクス(データマネージメント)による合金設計や新物質の創生が持て囃されています。従来実験的手法が主流であった材料開発を、計算科学を駆使して効率的かつ短期間で行うのが狙いです。しかし、機能材料は機能性物質とは違います。材料である以上、工業的に量産が可能で、経済的に目的の機能や性能を発現できなくてはなりません。
 私は今年のノーベル賞受賞者である大村智教授や梶田隆章教授の業績に深く感銘を受けました。2012年の山中伸哉教授のiPS細胞、2014年の赤崎勇教授他のLEDの発明は、いずれも自然には存在しない細胞や物質を創生した優れた研究なのですが、自然に生息する有益な微生物をfield workで発見した大村教授の業績や、宇宙誕生に由来するニュートリノに質量がある事を過去の定説を覆して実証した梶田教授の業績からは、自然科学研究の神髄とも言える地味で地道な研究スタイルが垣間見えてきます。
 自然科学で定説とされている多くの理論は実験によって裏付けられてきました。つまり、地道で精緻な実験こそ自然科学の未踏領域に光を当てることが出来ます。梶田教授が述べられた「知の地平線の拡大」が意味するところであると考えます。スーパーカミオカンデの壁面に敷き詰められた無数の20インチ・フォトマルはオールドテクノロジーそのもので、そのシンプルで愚直なまでの実験スタイルが宇宙物理学の世界に大きなブレークスルーをもたらしたのです。
 同じく金属材料を扱ってきた私達はどれほど金属の事を理解しているでしょう。前述したマテリアルゲノムの解析に供するデータは実験によって得られるのですが、その普遍性と信頼性に関してはまだまだ検証を要します。おそらく計算科学では、データベースと過去の理論の域を超える答えは得られないでしょう。勿論、金属材料の特性を理解したり、現象を可視化したり、研究開発の方向性を見極めるためには極めて有効な手法ですが、高機能化に対するブレークスルー技術にはつながらないように思います。
 当社のコア技術は金属の冷間圧延です。愚直にオールドテクノロジーに向き合い、手間暇かけて限りなく板厚公差ゼロを目指します(高付加価値化)。そうして製造された金属材料を使うことで精密機能部品の性能を格段に向上させることが出来るのです(高機能化)。金属材料の特性は生まれ(成分設計)で決まりますが、ひたすら素材自体の高性能化を追求すれば良いというものではありません。最終製品に安定した性能や機能を付与するためには、適切な材料を選択すること、寸法精度を極限まで追求すること、均一かつ安定した組織に制御することなどが極めて重要なのです。私達の周りには、金属が元々持っているポテンシャルを工業的に引出すことによって最先端のデバイスが開発された例は少なくありません。
 スーパーカミオカンデに隣接して国立天文台と東京大学のプロジェクトとして重力波望遠鏡(KAGRA)の建設が進んでいます。その心臓部とも言える制振装置のGAS(Geometric Anti-Spring)フィルターに私達の多機能高精度実験用圧延機(MVM-1)で冷間圧延した超高強度鋼板が使われています。事前テストでは「奇跡に近い制振性能が得られている」と聞いています。KAGRAは2017年より本格的に観測を開始するようですが、ニュートリノに次ぐ新たなノーベル賞級の成果として重力波の存在がKAGRAで実証される事を心より祈っています。」

 新機能材料開発本部 細谷でした。



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